若狭大島の先祖の聖地ニソノモリ
どんな伝承か
福井県の若狭大島には、ニソノモリと称して家の先祖を祭る聖地が三〇ある。村の開祖二四家の祖先を祭ると伝え、いまはその子孫または縁故ある家系がそれぞれ祭りをおこなう。祭りは一一月二二日から二三日にかけて営まれる。聖地は集落から遠くない山裾にあって古木が生い茂り、周囲から区画されている。小さい祠殿をもつものもあれば、ただの木の茂みだけのものもあり、ここに祖先が祭られていると村人は信じた。墓地は別にあり、埋め墓のサンマイと祭り墓のハカを区別する両墓制をとる。サンマイは埋葬後いっさい参拝しない。村の産土神の境内には、いつのころか二四家のニソノモリを合祀したと伝える小祠もあった。
原典より
小さい祠殿をもつものもあるが、ただの木の茂みもあり、ここに祖先がまつられると村人は信じた。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。