丸太と猿に変じた琵琶湖の渡し舟
どんな伝承か
蓮如絵伝に描かれる逸話。蓮如が諸国教化のため北国へ下ろうと、近江国の長浜から琵琶湖を北へ渡ろうとしたが、乗る舟がなく困り果てていた。すると、どこからともなく船頭二人の乗った舟が現れ、蓮如は無事に湖を渡ることができた。渡り終えると舟はただの丸太に変わり、船頭は猿の姿になったという。絵伝はこの猿を日吉山王権現の使いとしているが、著者は、蓮如の信者に船頭すなわち川や海の民がいたことを示す話としても読めると述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
異界巡礼(小松和彦)
『異界巡礼』は、小松和彦が著した民俗学の論集である。狐が人に化ける方法と如意宝珠、蓮如絵伝の異人、鬼退治譚と怨霊、家の盛衰をめぐる民話、夢信仰、巫女と陰陽道、洞窟や龍宮の他界観、人を神に祀る信仰、神隠しなどを、昔話・説話・絵巻・お伽草子と高知県物部村などでの調査をもとに論じる。論考と随想を部に分けて並べ、「民俗のランドスケープ」の部には妖怪、凧上げ、祓い、霜月祭り、呪い人形をめぐる小文を収める。