竹林院の僧正と光る狐の玉
どんな伝承か
木内石亭の『雲根志』に見える近江国竹林院の話。竹林院の僧正が泉のほとりで遊ぶ狐たちを眺めていると、狐は鳥の卵ほどの石をひどく大切に扱っていた。寺侍たちが背後から忍び寄って大声で脅すと、狐は玉を放り出して逃げた。拾い上げると白く美しい石で、夜には光を放ち、その光はまさに狐火であった。僧正が秘蔵していると、毎夜狐が居間の戸を叩いて返してくれと求めたので、返すことにした。すると老人の姿が居間に現れ、玉を受け取って一礼し去っていったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
異界巡礼(小松和彦)
『異界巡礼』は、小松和彦が著した民俗学の論集である。狐が人に化ける方法と如意宝珠、蓮如絵伝の異人、鬼退治譚と怨霊、家の盛衰をめぐる民話、夢信仰、巫女と陰陽道、洞窟や龍宮の他界観、人を神に祀る信仰、神隠しなどを、昔話・説話・絵巻・お伽草子と高知県物部村などでの調査をもとに論じる。論考と随想を部に分けて並べ、「民俗のランドスケープ」の部には妖怪、凧上げ、祓い、霜月祭り、呪い人形をめぐる小文を収める。