空襲の壕を出て撃たれた少年飛行兵
どんな伝承か
昭和二十年八月十日ごろ、語り手は大津陸軍少年飛行兵学校にいた。昼過ぎにB29の空襲があり、生徒たちは学校の横にある寺の防空壕に逃げ込んだ。ところが同年兵のS君は、B29の顔を見てやると言って仲間の制止を振り切り、壕の外へ出た。その瞬間を狙い撃たれ、たった一発で全身を震わせながら息絶えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸)
『現代民話考 ― 軍隊』は、松谷みよ子が編んだ、軍隊と戦争をめぐる現代の民話の集成である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きによって寄せられた話をもとに、十五年戦争を中心に徴兵検査から新兵のしごき、戦地、虐殺や飢え、敗戦、収容所、戦犯、軍隊生活の怪談までを収める。巻頭に序文「明日の民話のために」と論考「軍隊考」を置き、十三の部に分けた各話の末に話者と回答者の名と在住地を記す。