焼けた祠で死骸を喰らう牛女
どんな伝承か
『新耳袋』第一夜の第九十五話「甲山の祠」によれば、兵庫県西宮市の甲山のあたりには、半人半獣の妖怪を封じたという言い伝えのある祠があった。戦時中の空襲でこの祠が焼けてしまったとき、焼け跡で着物を着た牛女が動物の死骸をむさぼり食っているのが見られ、祠のまわりは血だらけになっていたという。同書の「“くだん”に関する四つの話」の一つで、甲山で牛の顔の女を見た話などとともに、阪神地方の牛女怪談として紹介されている。
原典より
甲山付近にあった祠(半人半獣の妖怪を封じたという伝説がある)が空襲で焼失した際、焼け跡で動物の死骸を貪り喰らう着物姿の牛女が目撃された。—— 妖怪伝説奇聞(東雅夫・2005年(平成17年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪伝説奇聞(東雅夫・2005年(平成17年))
『妖怪伝説奇聞』は、東雅夫が二〇〇五年に学習研究社から刊行した妖怪伝承地の探訪記である。稲生物怪録の木槌、クダン、牛鬼、塵輪、ナメラスジ、八幡の藪知らず、鬼の骨、蛇骨、鍋島の怪猫、児啼爺などを追い、中国・四国・九州ほか各地の寺社や旧家を訪ねて遺物と伝承を確かめる。月刊誌「ムー」の連載「日本伝説紀行」の十二章を三つのカラーグラビアで区切り、巻末に草双紙『鍋島猫騒動』の復刻を添える。