千里を行き千里を帰る虎のハンカチ
どんな伝承か
昭和十六年十一月頃、佐倉の部隊に召集された報告者は、出征の際に知人から、絹のハンカチに虎の絵を描いたものを贈られた。虎は千里を行って千里を帰るとされ、どこへ行っても必ず戻って来られるようにとの縁起かつぎだった。応召先は佐倉東部第六十四部隊で、報告者はこのハンカチを成田山のお守りと一緒に持ち歩き、無事に持ち帰ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸)
『現代民話考 ― 軍隊』は、松谷みよ子が編んだ、軍隊と戦争をめぐる現代の民話の集成である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きによって寄せられた話をもとに、十五年戦争を中心に徴兵検査から新兵のしごき、戦地、虐殺や飢え、敗戦、収容所、戦犯、軍隊生活の怪談までを収める。巻頭に序文「明日の民話のために」と論考「軍隊考」を置き、十三の部に分けた各話の末に話者と回答者の名と在住地を記す。