七が三つ重なった日の甲種合格
どんな伝承か
昭和七年七月七日、兵役猶予願の期限が切れて徴兵検査を受けることになった報告者は、七が三つ重なれば「喜」の字になると、前途に望みをかけていた。小学六年で陸軍幼年学校を受けたとき、軍医から色盲では軍人は無理だと言われていたので、くじ外れを期待していたのだが、結果は甲種合格だった。願いはかなわなかったが、人を殺す修業でなく人間修練の場にしようと自分に言い聞かせ、納金制度の最後の年だったため二百四十円を納めて入隊したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸)
『現代民話考 ― 軍隊』は、松谷みよ子が編んだ、軍隊と戦争をめぐる現代の民話の集成である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きによって寄せられた話をもとに、十五年戦争を中心に徴兵検査から新兵のしごき、戦地、虐殺や飢え、敗戦、収容所、戦犯、軍隊生活の怪談までを収める。巻頭に序文「明日の民話のために」と論考「軍隊考」を置き、十三の部に分けた各話の末に話者と回答者の名と在住地を記す。