藁の大蛇オロチを境に掛ける辻切り
どんな伝承か
井野では毎年一月二十五日に辻切りを行う。組ごとにオロチと呼ぶ藁の大蛇をこしらえ、村境の道辻の木に掛けて、疫病神が集落に入ってこないようにする悪魔除けの行事である。これに先立つ一月二十日のオビシャには、神職がオオツジ・コツジという大小のお札を持ってくる。当日は輪番の宿に組の人が藁を持ち寄り、男衆がオロチを作る。舌は唐辛子、目玉は五穀を紙に包んだもので、頭にオオツジを刺し、背には柊やしきびを挿す。境では道を断つように溝を掘って五穀を埋め、オロチは頭を村の外へ向けて木に取り付ける。
原典より
組ごとにオロチと呼ぶ藁の大蛇を作って、井野の境の道辻の木に掛けるのである。—— 厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年))
『厄除け――日本人の霊魂観』は、佐々木勝が昭和六十三年に名著出版から刊行した民俗信仰の論考集である。鬼・悪魔・疱瘡神・一つ目小僧など人に災いをもたらす神霊を「厄神」と総称し、その来訪を防ぐ呪術と祀り上げる祭祀を、著者の民俗調査と国学院大学民俗学研究会の採訪記録などの事例から説く。禁忌と呪術、百鬼夜行と目籠、鬼の宿と笹神様、年神とミタマの飯、厄年と年祝い、正月行事と司祭者など八章からなり、うち四章は書き下ろしである。