蓼を嫌ったカワランベの膳貸し
どんな伝承か
昔は天竜川にカワランベがいたそうだ。語り手の実家のある愛知県の富山村では、家の前の川原にカワランベが棲み、何かあると美しい女に化けて手伝いに来てくれたという。実家にはそのカワランベが持ってきた椀もあった。淵のそばの橋の上から、人が集まるので膳を三十枚貸してくれと呼びかけると、岩の上にきちんと並べて貸してくれ、用が済んで礼を言い岩へ返すと、人目につかぬうちに淵へ沈めた。蓼だけはくれるなといつも言っていたが、面白がってある人が与えると、血の泡のようなものを吹いて流れていき、それきり膳も貸さなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第5巻 総説 1 (概説)
『長野県史 民俗編 第5巻 総説1(概説)』のことばと伝承の章から、伝説の節を抜き出したものである。長野県全体の伝説を、デーラボッチャ・小泉小太郎・甲賀三郎・黒姫・八面大王・鬼女紅葉・ものぐさ太郎・弘法大師・白米城・早太郎・猫檀家・かっぱ・逆さ木・池の主・人柱・首塚などの題ごとにまとめ、本話のあとに県内各地の類話を地名つきで並べる。県史の地域編と重なる話も多い。