牛込の商家に降り続けた小石
どんな伝承か
誰の仕業とも知れず小石や瓦のかけらが屋内へ飛び込んでくるのを石降りという。明治大正のころにも折々起きた。大正七年ごろには東京の牛込若松町あたりの商家で始まり、警察まで出て調べたが原因はわからず、そのうちに止んだ。田舎では下女や小僧が家へ帰りたさに化物騒ぎを起こす悪戯だと新聞に書かれることが多いが、著者はそう単純ではないという。池袋では土地の女を他村へ出すと石降りが起こると古くから言い伝えられ、池袋生まれの下女が奉公する家では、水平に半円を描いて飛び込む、人の手では投げられない石があったとも伝える。
原典より
【解題】誰の所爲とも知られず、小石や瓦片類が屋内に飛んで來るのを石降りと稱せられ、古から我國や支那朝鮮などにあつた事であるが、明治大正の御代にも、時々此ことがある。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)
『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。