竿で打ち落とした青い光り物
どんな伝承か
夜空を飛ぶ光り物には、電気や流星や人魂や瓦斯の燃焼では説明のつかないものがあるという。平戸の隠居大名、松浦静山が書き残した思い出話がその一つである。幼いころ江戸の鳥越の屋敷にいたとき、子どもたちが日暮れに竿を振って蝙蝠を打ち落とすのを眺めていた。そこへ青い光が尾を引いて飛んできたので、子どもらは人魂が来たと叫び、竿で叩き落とした。地に落ちてもなお光っているので、履物で踏みつぶしてみたところ、正体は豆腐の滓のようなものだったという。
原典より
空中を飛行する夜間の光り物の中に、電氣や、流星や人魂や瓦斯の化學的燃焼の外に一種不可解な光り物がある。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)
『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。