腕に針を通して水桶を提げる奇術
どんな伝承か
寄席で見せる荒業のたぐいを、筆者は力学や生理の応用にすぎないと退ける。頭で徳利や煉瓦を割る、頭に載せた石を木剣で打ち割らせる、仰向けに寝た腹の上の大石を鉄槌で砕かせる——どれも多少の稽古を積めば誰にでもできるという。浅草の花屋敷では、ある奇術師が自分の腕に太い針を刺し通して麻糸を穿ち、その糸の先に水をなみなみと入れたバケツを提げたまま舞台を歩き回ってみせた。これも生理のうえでは十分ありうることで、不思議でも何でもない。こうした小技を霊能と言い立てるのは無知にすぎないと筆者は憤っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
變態心理と犯罪(中村古峽・大正10年代~昭和初期(推定1920年代))
二重人格の諸事例(變態心理と犯罪)/アンセル・ボーン/フェリダの交替人格/変態心理と犯罪/催眠と記憶障害/憑依とされた病理の科学的説明