哲学に凝った文学士の一家心中
どんな伝承か
憂鬱病者の自殺の例として挙げられた事件。憂鬱病に罹った者は、誤った観念から、自分の愛する者の苦痛をも救ってやるのだと称して、妻子までも自殺の道連れにすることがある。その著しい場合として、先年、帝大哲学科出身の文学士某氏が妻子を殺して自殺した一件がある。某氏の父の告白によれば「倅はあまり哲学に凝りましたので、遂に厭世を起したのであります」という。哲学に凝って厭世に陥ること自体が、某氏が憂鬱的の素質を持っていたことを証明するものだと著者は述べる。妻女は東京下谷の某女学校に教鞭をとっており、生活難のような問題のない立派な家庭であったと推察される。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
變態心理と犯罪(中村古峽・大正10年代~昭和初期(推定1920年代))
二重人格の諸事例(變態心理と犯罪)/アンセル・ボーン/フェリダの交替人格/変態心理と犯罪/催眠と記憶障害/憑依とされた病理の科学的説明