駅の便所で髪を切り落とした妻
どんな伝承か
夫の任地である大湊へ面会に向かった若い妻が、旅の途中で変調をきたした。上野駅で列車に乗り込むあたりから周囲の様子が妙に思え、黒眼鏡の男が自分を追ってきて同じ車輌に乗り、駅ごとに増える仲間と合図を交わしているように見えたのである。取り囲まれたと思い込んだ彼女は、停車の隙に列車を飛び出して駅の便所に駆け込み、内から鍵をかけた。そして身を守るには男の姿になるほかないと考え、手持ちの小さなはさみで髪を切り落として丸坊主になったところを駅員に保護され、そのまま入院した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の科学――幻覚の心理を探る(中村希明・中村希明・精神医学・昭和(精神医学))
幽霊や怪異を脳と心理(幻覚)の科学で解明する。