煙を落城と見誤った白虎隊
どんな伝承か
飯盛山を訪れる人の涙を誘う白虎隊の悲劇は、どうして起きたのか。彼らは前夜から降り続く冷たい秋雨に濡れながら徹夜の強行軍を続け、疲労しきっていた。早朝の遭遇戦で仲間の半数を失う敗戦を喫して逃げまどい、本隊との連絡も取れずに状況判断を誤る。鶴ヶ城の後方に上がった煙を落城と錯覚して意気沮喪し、最も手傷の重い一人の割腹に引きずられて全員が集団自決を遂げた。長時間の死闘では体力も気力も消耗して判断が悲観に傾く。確固たるリーダーを欠き、心理的に集団感染を起こしやすい思春期の少年ばかりであったことが、お城が燃えているという一人の言葉を誰にも疑わせなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の科学――幻覚の心理を探る(中村希明・中村希明・精神医学)
『怪談の科学――幻覚の心理を探る』は、中村希明が精神医学の立場から著した怪談の解説書である。新聞記事の幽霊騒ぎや体験談、民話の化かされ話、「浅茅ヶ宿」やハムレット、『四谷怪談』などの古今東西の怪談を取り上げ、その多くを高速道路催眠現象、感覚遮断、飢えや寒冷、睡眠や薬物による幻覚として説明する。生理的幻覚から精神変調時の幻覚までを四章で分析し、終章「怪談の論理」で恐怖と幻覚の仕組みと日本の幽霊の特色を論じる。