こたつで相次いで息絶えた母と娘
どんな伝承か
昭和五十六年のこと。会津に竹内という医者がいる。ある日、山の中で知恵おくれの娘と二人で暮らしている八十五歳の老婆が死んだと、姪が知らせてきた。行ってみると確かにこたつで死んでおり、死亡診断書を書いて戻った。ところが今度は死んだのは二人だと知らせが来る。再び行ってみると、先に診断書を書いた死人は六十いくつになる娘の方であった。娘は夫と別れて母のもとへ戻っており、母は「この娘を一人残しては死ねない」と繰り返していたという。母がこたつで息を引き取ると、娘も母の死に気づいたとたん、同じこたつで息を引き取っていたのだった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。