意地を引けの教えが救った命
どんな伝承か
薩摩の人が糸満のマンクーという者に金を貸した。マンクーは遭難して漁具を失い、その作り直しのために借りたのだが、期日になっても返せなかった。二度目の延期に薩摩の人は怒って刀を抜いたが、マンクーは祖先から言いつけられた「意地が出たら手を引きなさい、手が出たら意地を引きなさい」という言葉を伝えて待ってもらった。国へ帰ると妻の座敷に男装した者が寝ており、間男と思って斬ろうとした時にその言葉を思い出し、刀を鞘に納めて叫ぶと、妻を守るために男装していた母であった。次の約束の日、マンクーは利子まで添えて金を返したが、薩摩の人は親と妻の命を救われた礼だとして受け取らない。互いに譲らず、その金は糸満の今の白銀堂という所に埋め、神として拝むようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。