母の財布を盗み横浜へ逃走
どんな伝承か
大正五年十二月、催眠術師のもとへ、盗癖のある十六歳の少年・山田辰雄の母親が相談に訪れた。少年は活動写真見たさに幾度も金を持ち出し、直近では母の財布から十二円余りを盗んで二日間行方をくらませていた。三日目の朝、警察から連絡が入り、少年は前夜から保護されていたことがわかった。母は四十五、六の涙もろい女で、経緯を語りながら幾度も涙を拭った。少年は転校前の学校でも同級生の金を盗み除名処分寸前となったことがあり、以前から盗癖を抱えていたとみられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
變態心理と犯罪(中村古峽)
『變態心理と犯罪』は、中村古峽が著した変態心理学の論集である。二重人格、夢遊病、狐憑きや神隠し、催眠術を心理学の立場から解き、大本教・天理教・金光教などの神憑りや心霊術を迷信として論じ、迷信や二重人格のからむ大正期の犯罪事件の実話を収める。著者自身の被験者や大本教訪問の見聞を例に引き、変態心理の解説から催眠術、宗教批判、犯罪の実話へと進む順に並べる。