殺人のあった船に出る船員風の幽霊
どんな伝承か
殺人事件のあった船に住み込み、その亡霊に悩まされるのに耐えられず、飲む酒代のために盗みを働いた男が窃盗罪で起訴された。七月十九日、東灘区本庄町深江沖で亀吉丸(四五トン)の大堀清美船長が機関長に殺され、エンジンを売り飛ばされる事件が起きた。同船はその後、生田区の海運会社に買い取られて葺合区真砂通二の浜へ引航され、番人役として西川信吉(五六)が雇われた。ところが毎夜のように若い船員風の幽霊が出るので、気の迷いかと思いながら酒で紛らわしていたが、月六千円の給料では足りず、船のクランクシャフトや煙突を売り飛ばそうとして捕まった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。