三ヶ島の杉の煙騒ぎ
どんな伝承か
終戦時分のこと、三ヶ島一区のある家で、その家の裏にあった杉の大木の頂上から、夕方になると煙がたなびくのが見えて大騒ぎになった。しまいには年寄りが、煙が馬の形になって空へ出ている、昔ある家で飼っていた馬をいじめたからだと言い出した。ちょうどお茶摘みの時分だったので、娘たちは皆夢中になり、早く仕舞って見に行こうと約束し合って、その家を取り巻いて見物した。騒ぎは一週間ほど続いたが、近所の木伐りが杉のてっぺんまで器用に登って調べたところ、上で羽根の生えた蟻が大量に発生していた。蟻が飛び立つ様子が、下から見るとちょうど煙に見えたのだった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
所沢市史 民俗編(所沢市史)
『所沢市史 民俗編』は、所沢市の市史の民俗編から、第一二章「口頭伝承」の一部を収めたものである。ヘビや天狗・カッパ・雷獣の話に続けて、世間話の「不思議な話」としてカラス鳴き・人魂・死の予兆・夢・木の祟り・生き霊・幽霊騒ぎ・タクシーの幽霊などを、市内の話者からの聞き書きで記す。話ごとに題を立てて同じ題の話を番号で並べ、話者の性別などを添え、ホラ吹きやオトウカドンの話も続ける。