杉から天へ昇った護法の小僧
どんな伝承か
佐々木喜善の「奥州のザシキワラシの話」に紹介された話。高野山の金剛三昧院に一人の小僧がいて、住持が出かけるときに連れていけば、どんな暴風雨に遭っても、傘をささずとも濡れることがなかった。ところが夜にこっそり寝姿を見られたために寺にいられなくなり、去り際に庭の杉の木を一本所望して、その木から天へ昇っていった。その杉は今もあり、火事の多い高野山でこの寺だけが七百年来焼けていないのは小僧のおかげだとして、杉の下に祠を建てて朝夕供物を上げているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・1986年(昭和61年))
『暮しの中の妖怪たち』は、岩井宏實が昭和六十一年に著した妖怪の概説書である。鬼・天狗・河童から山姥、産女、雪女、怪火、ザシキワラシ、化け猫、狐狸、幽霊まで、各地の伝承や古典・絵画に見える妖怪を一つずつ取り上げ、その姿と仕業を説く。第I章で個々の妖怪を紹介し、第II章で妖怪の性格、出現の空間と時、正体を論じ、巻末に著者が資料とした妖怪の本の一覧とあとがきを置く。