高野山の寮・三十六号室の足音
どんな伝承か
兵庫県城崎郡香住町下浜の帝釈寺住職横田慈本によれば、若い頃に高野山の学校へ入って寮生活をしていたとき、新しいほうの北寮の三十六号室に幽霊が出るという噂が広まった。友人と竹刀を持って待つと、丑三つ時にスリッパで廊下を歩く音がして便所へ行くらしい。追うと便所で下駄の音が聞こえるが、声をかけても返事はなく、覗いても誰もいない。剣道の先生が真刀を持って寝ても、足音を聞くと刀も忘れて廊下へ飛び出す始末で、柔道の先生も同じだった。調べると、昔の墓場を整地して寮を建てており、掘り出した白骨をため池に埋め、三十六号室はその池の上に当たっていた。
原典より
何かあると思って調べてみたら、その昔の墓場を整地して寮を建てたというわけで、そのときには白骨もたくさん掘り出され、小さなため池にそれを埋めたそうです。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。