三十三年で神になる屋敷の祖霊
どんな伝承か
渋川市域の屋敷神はたいてい稲荷だが、なかに若宮八幡を祀る家がある。行幸田や半田では、その屋敷に住んでいた者が死んで三十三年を過ぎると神になり、若宮八幡として祀られるのだと伝えていた。つまりは祖先の霊にほかならない。この祖霊の信仰と、外から勧請してきた稲荷の信仰とが混ざり合ったため、この地の稲荷祭りには他所と違うところが生じている。半田で稲荷には線香を供えるものだと言い、台石に線香を立てる穴をあけている家があるのも、祖霊が祀り込められているという心もちの表れだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
渋川市誌 民俗編(市史編纂シリーズ)
『渋川市誌 民俗編』は、渋川市の市誌民俗編のうち、第六章「民俗信仰」の第一節から第五節の初めまでを収めたものである。人魂・幽霊・ロクロッ首・生まれかわり・死神などの霊魂の話、手をつけてはいけない聖地や耕すと祟る忌地、オサキ使いや狐つき、神かくし、若宮八幡などのたたり、イチッコと呼ばれる巫女や祈禱師、東向き鳥居参りなどの祈願を、市内の大字ごとの聞き書きで記す。はじめにで章全体を解説し、続く節では話に見出しと採集地の大字を添える。