霧島神宮の前から朝鮮へ飛んだ神軍の火
どんな伝承か
明治二十七、八年の日清戦争のさなか、日向の高千穂峰のふもとにある官幣大社霧島神宮の前に、数万もの大きな火が現れ、列をなして朝鮮と思われる方角へ飛び去っていったという。人々はこれを、天皇の軍勢を守るために神々の軍が出陣したのだと言いはやした。十年後の日露戦争の際にも同じ霊異が再び現れたと伝えられ、戦のたびに霧島の山に神軍の火が立つと語られるようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫・1938年(昭和13年))
『日本怪談実話』は、田中貢太郎が昭和十三年に著した実話怪談集を河出文庫に収めたものである。明治以降に著者が聞き集めた怪異を報告調の短文で綴り、戦地の霊験や戦死者の知らせ、狐狸・天狗・海坊主、トンネルや自動車に現れる女、幽霊写真、狐狗狸などを扱う。元本は改造社刊の『新怪談集(実話篇)』で、冕言に始まって二百を超える小話を並べ、巻末に川奈まり子の解説を付す。