耕す者が毎年死ぬ位牌の形の田
どんな伝承か
義民木内宗五郎の話で知られる甚兵衛の渡しのある印西の渡し場から、西へ十町ほど行ったところに、形が位牌に似ていることから位牌田と呼ばれる田がある。一反八畝の肥えた田で実りはよいが、作った家では毎年死人が出るため二年続けて耕す者はなく、荒れ果てていた。昭和二年、隣村に住む頑健な元田舎相撲の老人が、周りの忠告を笑い飛ばしてこの田を耕し、稲はよく実った。ところが刈り入れ間近の昼、隣の田の農夫が、位牌田の上で提灯ほどの青い火の玉が回りながら上下するのを見て逃げ帰った。その夜、老人は急に高熱を出してうなされ、明け方にあっけなく死んだ。田はもと寺の跡で、強盗に殺された住職の恨みが残るともいう。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫・1938年(昭和13年))
『日本怪談実話』は、田中貢太郎が昭和十三年に著した実話怪談集を河出文庫に収めたものである。明治以降に著者が聞き集めた怪異を報告調の短文で綴り、戦地の霊験や戦死者の知らせ、狐狸・天狗・海坊主、トンネルや自動車に現れる女、幽霊写真、狐狗狸などを扱う。元本は改造社刊の『新怪談集(実話篇)』で、冕言に始まって二百を超える小話を並べ、巻末に川奈まり子の解説を付す。