首を締められた地蔵と干瓢泥棒
どんな伝承か
栃木県芳賀郡中村の大字若旅は、上・中・下の小字に分かれた干瓢の村である。明治四十三、四年ごろ、小字下の農家石島と竹田は、干瓢がたびたび盗まれるので互いを疑っていたが、夜の見張りで鉢合わせして誤解が解け、手を組んで盗人を捜すことにした。番をすると被害は止み、やめるとまた盗まれる。評判の地蔵尊に毎晩祈っても効き目がないので、十四日目の夜、二人は地蔵の首に荒縄を巻いて締め上げ、盗人に祟れと責めた。すると生き物を縛ったような手応えがあり、怖くなって逃げ帰った。翌日、小字中の男が首が締まると苦しみ出し、問い詰めると盗みを白状した。二人が供物をして願を解くと男も治った。
原典より
* 池の中の足首 (253)* 蟹 (255)* 竹杖に芽を吹く (258)* 掠奪した短刀 (260)* 桐原事件の一挿話 (262)* 位牌が動く (269)* 亀の子を握ったまま (27…—— 日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫・1938年(昭和13年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫・1938年(昭和13年))
『日本怪談実話』は、田中貢太郎が昭和十三年に著した実話怪談集を河出文庫に収めたものである。明治以降に著者が聞き集めた怪異を報告調の短文で綴り、戦地の霊験や戦死者の知らせ、狐狸・天狗・海坊主、トンネルや自動車に現れる女、幽霊写真、狐狗狸などを扱う。元本は改造社刊の『新怪談集(実話篇)』で、冕言に始まって二百を超える小話を並べ、巻末に川奈まり子の解説を付す。