冷風が吹き出す八雲風穴
どんな伝承か
風穴は氷室と違い、もっぱら庶民が利用した天然のクーラーであった。島根県出雲市佐田町朝原に現存する八雲風穴は原形がよく保たれている。二基のうち一基は上部に建物を造り、夏のあいだ訪れる人が冷気を体験できるようにしてある。もう一基は地表にむき出しで、縦六メートル、横二メートル、深さ一・二メートルほどの石組みの間から冷風が吹き出す。その原因はいまも解明されていない。著者が平成二十三年五月十四日に訪ねたとき、外は二〇度を超していたのに温度計は七度を指していた。
原典より
世界遺産になった荒船風穴第10章 戦後も産屋に籠もる女性がいた産屋とは何か産婦の死と「ウブメ」安産祈願と犬卒塔婆渡し舟で出産した女性の話—— 村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))
『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。