物部の犬神筋と長女の縁組み
どんな伝承か
高知県香美市物部町安丸の安丸成功は、平成二十四年十二月、犬神について次のように語った。犬神筋と言われる家はこの村にも何軒かあり、犬神を飼っている家の者がだれかに恨みを抱くと、犬神がその相手に食いつくとされた。そうでなくても犬神は長女について嫁ぎ先へ移るといわれ、そのため、そういう家のとくに長女と結婚することは嫌われた。犬神といっても犬ではなく、何か虫のようなものを飼っているとうわさされた。隣の集落の一軒は特別の面を祀っていると言う人もいたという。
原典より
犬神落としで知られる神社遅くとも中世には語られていたおわりに—— 村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))
『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。