櫛笥の小蛇となった大物主神
どんな伝承か
『日本書紀』巻五には、大物主神が倭迹迹日百襲姫命のもとへ通ったとき、櫛笥の中に入り、衣の紐ほどの大きさの美しい小蛇の姿になっていたという話が見える。人と蛇とが通じる話として文献に残るもののうちでは、これが最も古いという。この型は三輪山式の神婚説話と呼ばれ、夜ごと通ってくる素性の知れない男が帰るとき、女がその裾に針を刺しておき、夜が明けて針に通した糸をたどって行くと、針に刺された大蛇が苦しんでいた、という苧環の筋を欠かせないものとして語られる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
講座日本風俗史別巻 妖異風俗((講座日本風俗史 別巻)・日本風俗史・民俗)
『講座日本風俗史別巻 妖異風俗』は、『講座日本風俗史』の別巻として、複数の執筆者が妖しく異様な風俗を論じた巻である。淫祠と性の祭礼、戦後の新興宗教、性にまつわる迷信、妖術・忍術・奇術、憑きものと特殊家系、心霊術と催眠術、異類との婚姻、性と怪異の関わりを、古典の随筆や各地の報告、事件の記録から取り上げる。九つの章に分け、終章「日本妖異風土記」では関東から九州・沖縄までの怪異譚を地方別・県別に掲げる。