早池峯の女神と契った附馬牛の力自慢
どんな伝承か
早池峯山の麓、附馬牛村の老人は、若い頃は草相撲で近在に並ぶ者がなかったと自慢していた。若い頃、早池峯山のある沢で、二十ばかりの美しく異様な姿の女に出会い、狐狸の化けたものかと身構えると、女は笑って、自分は早池峯の神で、お前の力に惚れて出てきたと告げた。二人は契りを結び、別れ際に女神は小さな布包みを渡し、逢いたくなったらこれを開けて名を呼べと言った。男は四十五歳まで山で逢い続けたのち包みを返したが、その中身と女神の名だけは明かさないという。
原典より
妾を疑ふな、私は早池峯の神であるが、お前の力に惚れて此所に出て来た。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。