手拭をかけて相手を選ぶ宮処野のかたげ市
どんな伝承か
大分県直入郡の宮処野神社の祭礼は十月十五、十六日に行われ、かつて「かたげ市」と呼ばれる求愛の風習があった。好きな人がいれば、この祭のときに相手に手拭をかけ、相手が払い落とせば不承知、そのまま暗い所へ行けば承知の合図とした。神社裏は採草場で、参詣者は市で酒や肴を買い、広場で終夜飲み明かし、その雰囲気の中で盛んに「かたげ」が行われたという。周囲も年に一度の里帰りの男女の関係を黙認した。現在は「かげみ祭」と呼ばれ、適齢の男女の集団見合いの場となっている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
講座日本風俗史別巻 妖異風俗((講座日本風俗史 別巻)・日本風俗史・民俗)
『講座日本風俗史別巻 妖異風俗』は、『講座日本風俗史』の別巻として、複数の執筆者が妖しく異様な風俗を論じた巻である。淫祠と性の祭礼、戦後の新興宗教、性にまつわる迷信、妖術・忍術・奇術、憑きものと特殊家系、心霊術と催眠術、異類との婚姻、性と怪異の関わりを、古典の随筆や各地の報告、事件の記録から取り上げる。九つの章に分け、終章「日本妖異風土記」では関東から九州・沖縄までの怪異譚を地方別・県別に掲げる。