薬いらずのかまいたちと家族そろっての罹患
どんな伝承か
南魚沼郡塩沢町では、かまいたちには薬など要らない、豆腐のかすを食べさせておけばよい、と言われてきた。あかぎれには飯を食わせろという言い方と同じで、かまいたちを外から受けた傷ではなく、体の質によってひとりでにできるものと昔から捉えていたのだろう、と田村竹男の論文は見ている。同じ論文は塩沢町の実例を挙げ、一つの家族がそろってかまいたちにかかる例があることや、冬は雪が深く米作りを営む農村という土地柄が関わっているらしいことも述べている。
原典より
なお、前出の田村論文には、塩沢町では「かまいたちに薬はいらぬ、トウフカスをくわせておけばいい」といわれ、…—— かまいたち談義(大竹信雄・高志路1998年8月号) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
かまいたち談義(大竹信雄・高志路1998年8月号)
『かまいたち談義』は、大竹信雄がかまいたちについて論じた民俗学の論考である。北蒲原郡笹神村と柏崎市・刈羽郡小国町で集めた、かまいたちにかかった体験九例を挙げ、辞書や『北越奇談』などの説明から構え太刀説・つむじ風説・真空説・筋肉の急な動きによる生理現象説を整理する。「はじめに」から「おわりに」まで六節に分け、体験例の共通点から境界性を論じ、妖怪かまいたちの性格と、『東遊記』や『北越奇談』に見える越後七不思議との関わりを考える。