山神の祭日に谷間から上る無数の火光
どんな伝承か
越後の南魚沼郡には八海山という高い山がある。旧暦の八月一日はその山の神の祭日で、大勢の信者が山頂に登って夜通しこもる。そのとき山上から見下ろすと、谷間から数えきれないほどの火の光が上ってくるのが見えるという。人々はこれを、ふもとの家々が山の神に献じた灯明が伝わってくるのだと言っている。
原典より
その時山上より望むと無数の火光が谷間より上り来るのを見るそうだ。—— 迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・1916年(大正5年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・1916年(大正5年))
『迷信の諸相・宗教の真相』は、井上円了が大正五年に刊行した『迷信と宗教』を、新しい題を付け現代の表記に改めて翻刻した本である。琉球・伊豆七島・壱岐対馬から北海道まで、著者が各地を巡回して見聞した犬神・人狐・河童・狐憑きなどの迷信と、怪火・天狗・幽霊・鬼門・卜筮・家相・禁厭など全国共通の迷信を挙げる。迷信の利害と原因を論じたのち宗教の真相を説き、余論に妖怪学の短編、附録に幽霊鬼神と霊魂不滅をめぐる論を収める。