門跡の浴水と浮塵子を放った天狗
どんな伝承か
越前国池田は山あいの侘しい里だが、日清戦争の後、浮塵子が大量発生して収穫がほとんどなくなったことがあった。そのときにこんな噂が立った。戦争中、山々の天狗たちがそろって満州や韓国へ渡り、日本軍を助けたおかげで大勝利を得られたのに、その後天狗へ何のお礼の祭りもしなかったため、天狗が怒って浮塵子を放ったのだという。
原典より
その時の風説に、戦争中は山々の天狗がみな満韓へ渡って日本軍の応援をしたおかげで、百戦百捷の大勝利を得たのに、…—— 迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・1916年(大正5年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・1916年(大正5年))
『迷信の諸相・宗教の真相』は、井上円了が大正五年に刊行した『迷信と宗教』を、新しい題を付け現代の表記に改めて翻刻した本である。琉球・伊豆七島・壱岐対馬から北海道まで、著者が各地を巡回して見聞した犬神・人狐・河童・狐憑きなどの迷信と、怪火・天狗・幽霊・鬼門・卜筮・家相・禁厭など全国共通の迷信を挙げる。迷信の利害と原因を論じたのち宗教の真相を説き、余論に妖怪学の短編、附録に幽霊鬼神と霊魂不滅をめぐる論を収める。