伊豆日金山麓の鸚鵡石
どんな伝承か
二、三年前のある新聞(著者は毎日新聞だったと思うという)が、伊豆の鸚鵡石を「石を対手とす」と題して報じた。豆州日金山のふもと、平井と丹郡のあいだの、俗に弥下洞と呼ばれる所に一つの怪石があり、ひどく音をはね返すので、そばで三味線をひけば石も三味線をひき、詩を吟じれば一緒に詩を吟じるという。その反響の奇妙さから、熱海温泉の湯治客などはわざわざ楽器を携えて出かけ、石と遊ぶ者がほとんど絶えないとされる。
原典より
此石は反響する事著しく傍にて三味線を弾けば同じく三味線を弾き詩を吟ずれば共に詩を吟じ如何にも其反響の奇なるより、熱海温泉の浴客などは態々樂器を携行きて石と遊ぶ者殆ど絶えざるよし。—— 心霊哲学の現状(高橋五郎・1919年(大正8年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊哲学の現状(高橋五郎・1919年(大正8年))
『心霊哲学の現状』は、高橋五郎が大正八年に著した心霊研究の概説書である。英国のロッジが戦死した子レイモンドの霊と交わした冥界通信をはじめ、欧米の交霊術と霊媒の実例を訳して紹介し、日本の催眠術と千里眼の流行、御船千鶴子・長尾郁子の事件、霊光や念写までを論じる。篇と章に分け、心霊哲学とキリスト教、クリスチャン・サイエンス、淘宮術との関係や、太霊道など国内の霊術諸派も取り上げ、ところどころに評註を添える。