笛の音だけ返さない馬草の鸚鵡石
どんな伝承か
田原市の旧泉村馬草の集落から山道を登ると、三方を山に囲まれた谷川のそばに高さ五間、幅六間ほどの大岩がある。ここで声を出したり音を立てたりすると、すぐこだまのように返ってくるので鸚鵡石と呼ぶ。昔、この地の豪族渥美太夫の娘玉栄には主馬之助という許婚がいたが、心変わりして約束を果たさず、玉栄は母からもらった横笛をくわえたまま谷川に身を投げて死んだ。それ以来、笛の音だけは決して響き返らないと言い伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。