尾張富士に登った尼の手が岩に貼りつく
どんな伝承か
尾張富士は昔から女人禁制の山で、無理に登れば山の神が怒って山が荒れ、登ろうとした女も祟りを受けると言い伝えられてきた。ある尼が、自分は仏に仕える身で頭を剃った男も同然だと言って登り始めたところ、中腹まで来て疲れ、一息入れようと傍らの石に手をつくと、その手が岩に貼りついてどうしても離れなくなった。尼は恐ろしさと驚きで青ざめ、祈祷をしてもらってようやく手を離すことができたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。