夢告から始まった尾張富士の石上げ祭り
どんな伝承か
五郎丸にはかつて八百比丘尼が住んでいたという。ある夜、尾張富士の祭神である木花咲耶姫命が比丘尼の夢枕に立ち、隣の本宮山より背が低いのが口惜しい、誰でもよいから峰へ小石を一つでも積んで背を高くしてくれれば、どんな願いでも叶えようと告げて去った。比丘尼が里の人々にこれを伝えると、皆は喜んで山へ石を運び上げ、さまざまに祈った。すると家内は安らかに治まり、病も遠のいたという。初めて石を上げたのが旧の六月朔日の未明であったことから、この日が石上げ祭りの行われる日と定められた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。