よこさばよこせと答えた夜
どんな伝承か
貞享四年の夏、毎日雨が降り続いて木曽川の水は赤く濁り、日夜ごうごうと音を立てて流れていた。ある夜、善助が門の外へ出ると、突然、上流の方から「やろか、やろか」という声がした。善助が思わず「よこさばよこせ」と答えると、さあ大変、見る見るうちに鵜飼屋付近の土地は水の底に沈んでしまったという。洪水の前触れの声に応えてしまったために水害を招いたと語られる、木曽川筋のやろか水の伝説である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。