空を飛んだ蓮華坊の弥陀三尊
どんな伝承か
高寺山の恵隆寺が本寺恵日寺との争いに敗れて焼け落ちたのち、三十六坊の一つであった茅津村(今の上開津)の蓮華坊も、寺として独立はしたが自然に朽ちるにまかせるようになった。この堂には高寺時代から弥陀三尊、すなわち阿弥陀・観音・勢至の像が安置され、俗に高寺おろしと呼ばれていた。三体はまことに霊験あらたかであったが、ある夜光を放ちながら若松の方へ空中を飛んで行き、落ちついた先は五ノ丁の高厳寺であったという。のち茅津村には浄土宗三心山浄福寺が建てられ、もとの蓮華坊の跡は村東に寺屋敷という地名として残っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
会津坂下町史 1(民俗編)――伝説(会津坂下町(編・山口弥一郎ほか)・会津坂下町史)
『会津坂下町史 1(民俗編)――伝説』は、会津坂下町の町史民俗編のうち、第二十章「伝説」を収めたものである。高寺山の黄金千杯、佐原・栗村の水田開発、交通路、空也・徳一、神仏、地名、雨ごい、狐、笑い話・逸話、妖怪変化、部落の起源、人物にまつわる町内の伝説を集める。冒頭で伝説の意義と自然・歴史・信仰の三分類を述べ、主題別の節に分けた各話の末尾に話者と、井関敬嗣・薄嘉明ら執筆者の名を記す。