白狐に法印が乗る池の稲荷
どんな伝承か
牛沢の南、字南原の、牛沢から勝大に通じる町道の傍らに、古木に囲まれた二間四方の神殿がある。御神体は丈六、七寸ほどの白狐に法印が乗った珍しい姿で、正一位池稲荷大明神といい、通称いけのとうかと呼ばれる。神殿のすぐ前に清水が湧き、産婦がその水で粥を煮て食べると乳が出るといわれ、遠くの村々からもわざわざ水を汲みに来たという。毎年十二月十四日がこの稲荷の歳とりで、近隣数軒が集まって祝うのが恒例である。由来は、信心の厚い当村の嘉茂左ヱ門が京都へ拝受に出かけ、大井川の洪水で路銀が尽きて刀を質に入れ、翌年百数十日を費やして受納したものと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
会津坂下町史 1(民俗編)――伝説(会津坂下町(編・山口弥一郎ほか)・会津坂下町史)
『会津坂下町史 1(民俗編)――伝説』は、会津坂下町の町史民俗編のうち、第二十章「伝説」を収めたものである。高寺山の黄金千杯、佐原・栗村の水田開発、交通路、空也・徳一、神仏、地名、雨ごい、狐、笑い話・逸話、妖怪変化、部落の起源、人物にまつわる町内の伝説を集める。冒頭で伝説の意義と自然・歴史・信仰の三分類を述べ、主題別の節に分けた各話の末尾に話者と、井関敬嗣・薄嘉明ら執筆者の名を記す。