おさいの家と殿様の白旗
どんな伝承か
塔寺に、通称おさいの家という地名がある。村南のゆるやかな傾斜地で、一部は畑、一部は杉林であり、東と南が開けて旧坂下町を間近に見おろし、遠く磐梯山まで眺められる景勝の地である。この土地の持主が畑を耕すと、土台石か庭石かと思われるものがいくつも出て、半月形やひょうたん形の池の跡もあったという。ここには昔おさいという美人が住み、殿様のおめかけであったと伝えられる。日によって屋敷に白い旗が立ち、その日は必ず殿様がおいでになるので、あれは殿様を迎えるしるしだろうと村人が噂したという。立木観音の三仏堂の脱衣婆は、おさいの家にあったものと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
会津坂下町史 1(民俗編)――伝説(会津坂下町(編・山口弥一郎ほか)・会津坂下町史)
『会津坂下町史 1(民俗編)――伝説』は、会津坂下町の町史民俗編のうち、第二十章「伝説」を収めたものである。高寺山の黄金千杯、佐原・栗村の水田開発、交通路、空也・徳一、神仏、地名、雨ごい、狐、笑い話・逸話、妖怪変化、部落の起源、人物にまつわる町内の伝説を集める。冒頭で伝説の意義と自然・歴史・信仰の三分類を述べ、主題別の節に分けた各話の末尾に話者と、井関敬嗣・薄嘉明ら執筆者の名を記す。