大寒の水風呂に耐えた豪傑の賭け
どんな伝承か
むかし上野喜多郎という体格のよい豪傑がいた。賭け事が好きで思い切った賭けをするので、部落内では有名な男であった。ある冬の大寒のこと、隣の常次郎の家へ藁仕事に行くと若い衆が大勢集まっており、水から沸くまで風呂に入っていられたら清酒一升をやるという賭けが決まった。外は零下の酷寒で、据風呂に川の雪混じりの水を汲み入れ、喜多郎は氷のような水につかった。生木をくべてわざといぶすので湯は温まらず、顔は青白から紫に変わり、一時間半を過ぎて意識も朦朧としてきた。見かねた常次郎が皆を昼飯に帰らせ、どぶろくを与えて薪をどんどん焚いたので助かり、喜多郎は賭けに勝ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
会津坂下町史 1(民俗編)――伝説(会津坂下町(編・山口弥一郎ほか)・会津坂下町史)
『会津坂下町史 1(民俗編)――伝説』は、会津坂下町の町史民俗編のうち、第二十章「伝説」を収めたものである。高寺山の黄金千杯、佐原・栗村の水田開発、交通路、空也・徳一、神仏、地名、雨ごい、狐、笑い話・逸話、妖怪変化、部落の起源、人物にまつわる町内の伝説を集める。冒頭で伝説の意義と自然・歴史・信仰の三分類を述べ、主題別の節に分けた各話の末尾に話者と、井関敬嗣・薄嘉明ら執筆者の名を記す。