魚の目方を見抜く赤ひげの名人
どんな伝承か
坂下町の新町に、魚とりの名人で通称亀太という男がいた。一年中せっしょうをしており、わざわざ蓄えたのではなく無精ひげが伸びた赤ひげを生やしていた。道具はすだれと長樽とハケゴぐらいのもので、目的地に着くとまず川端で一服しながら堀をよく見つめる。すると、これから取る魚の目方が、どじょうが何百匁、なまずが何百匁と頭に浮かんだという。多くはかいぼしで、堀の上下を土くれで止めて水を汲み上げ、泥の中のどじょうまで一匹残らず取った。水の深い川ではガマにもぐり、両手と口で三匹も四匹も同時に取ってきたという。今も坂下では魚とりの上手な人を亀太と呼ぶ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
会津坂下町史 1(民俗編)――伝説(会津坂下町(編・山口弥一郎ほか)・会津坂下町史)
『会津坂下町史 1(民俗編)――伝説』は、会津坂下町の町史民俗編のうち、第二十章「伝説」を収めたものである。高寺山の黄金千杯、佐原・栗村の水田開発、交通路、空也・徳一、神仏、地名、雨ごい、狐、笑い話・逸話、妖怪変化、部落の起源、人物にまつわる町内の伝説を集める。冒頭で伝説の意義と自然・歴史・信仰の三分類を述べ、主題別の節に分けた各話の末尾に話者と、井関敬嗣・薄嘉明ら執筆者の名を記す。