煮えるまで里芋鍋を提げた我慢
どんな伝承か
新年会で村の青年団の親睦会があった。昔は今のように料理屋などを使わず、団長や役員の家で自分たちが料理して膳をこしらえたもので、その会に岩太郎も出席していた。ちょうどそのころ川ばたの方から村人が用足しの帰りらしく通りかかり、鍋に里芋を入れて、里芋が煮えるまで持っていられるかと岩太郎に言った。岩太郎は、そんなことは朝飯前さと答えたので、里芋一貫匁を鍋に入れ、いろりばたの木尻にたき木をどっさりくべて用意された。そうして皆が見ている前で、岩太郎は素手で里芋鍋を持ち、煮えるまでぶら下げていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
会津坂下町史 1(民俗編)――伝説(会津坂下町(編・山口弥一郎ほか)・会津坂下町史)
『会津坂下町史 1(民俗編)――伝説』は、会津坂下町の町史民俗編のうち、第二十章「伝説」を収めたものである。高寺山の黄金千杯、佐原・栗村の水田開発、交通路、空也・徳一、神仏、地名、雨ごい、狐、笑い話・逸話、妖怪変化、部落の起源、人物にまつわる町内の伝説を集める。冒頭で伝説の意義と自然・歴史・信仰の三分類を述べ、主題別の節に分けた各話の末尾に話者と、井関敬嗣・薄嘉明ら執筆者の名を記す。