上下八丁を守ると誓った河童
どんな伝承か
むかし橋本金沢の橋の付近に河童が住んでいた。田植も終わり日照り続きの除草期のころ、川ばたの百姓が栗毛の五歳の牡馬を飼っており、河童は日ごろからこの馬を盗もうと狙っていた。昼休みごろ、河童は厩に入り込んで馬の尻尾を引き、じりじりと川へ引き入れ始めた。村人がこれに気づいて板木を打ち急を告げたので村中が大騒ぎとなり、逃げ場を失った河童は厩に飛び込み、石の飼い葉桶をかぶって隠れたが見つかって捕らえられた。河童は涙ながらに命乞いし、この橋の上八丁下八丁の間で人の水死がないよう守ると誓ったので許され、以来水死者が出ないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
会津坂下町史 1(民俗編)――伝説(会津坂下町(編・山口弥一郎ほか)・会津坂下町史)
『会津坂下町史 1(民俗編)――伝説』は、会津坂下町の町史民俗編のうち、第二十章「伝説」を収めたものである。高寺山の黄金千杯、佐原・栗村の水田開発、交通路、空也・徳一、神仏、地名、雨ごい、狐、笑い話・逸話、妖怪変化、部落の起源、人物にまつわる町内の伝説を集める。冒頭で伝説の意義と自然・歴史・信仰の三分類を述べ、主題別の節に分けた各話の末尾に話者と、井関敬嗣・薄嘉明ら執筆者の名を記す。