杵が森で目玉を抜かれた百姓
どんな伝承か
春の初めのことだという。新舘の百姓が朝から田を打ち返す仕事に精を出していた。昼下がりの一服どきに、すぐそばの杵が森まで足を延ばして腰を下ろすと、たまった疲れが出たのか、そのまま寝入ってしまった。そこへ鳥の群れが舞い降りてきて、眠っている男の目を嘴で突き、目玉をくわえたまま飛び去ってしまったという。会津坂下の新舘に、そう語り伝えられている話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
会津坂下町史 1(民俗編)――伝説(会津坂下町(編・山口弥一郎ほか)・会津坂下町史)
『会津坂下町史 1(民俗編)――伝説』は、会津坂下町の町史民俗編のうち、第二十章「伝説」を収めたものである。高寺山の黄金千杯、佐原・栗村の水田開発、交通路、空也・徳一、神仏、地名、雨ごい、狐、笑い話・逸話、妖怪変化、部落の起源、人物にまつわる町内の伝説を集める。冒頭で伝説の意義と自然・歴史・信仰の三分類を述べ、主題別の節に分けた各話の末尾に話者と、井関敬嗣・薄嘉明ら執筆者の名を記す。