津尻の森に現れたおぼこだき
どんな伝承か
宇内の四ッ谷から津尻の村南に出て、山の根岸を旧河川に沿って下ると長井に出る。その途中は杉の大木が茂る暗い一本道で、森に入って二百メートルほどの道の東側に供養塔が一基あった。さつきのころ、夜遅くここを通りかかった下級武士の前に、髪を乱した若い女が子を抱いて現れ、髪を結う間だけ子を抱いてくれ、泣かせたら命はないと言った。武士は子を外向きに抱き、羽織の紐を解いて遊ばせ、泣かせずに済んだ。抱いた子は石のように重かったという。女は髪を結い終えると礼を述べて闇に消えた。武士はのちに立身出世し、以来この近村では前垂れの紐を左右同じ長さにしないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
会津坂下町史 1(民俗編)――伝説(会津坂下町(編・山口弥一郎ほか)・会津坂下町史・自治体史(民俗))
福島県会津坂下町の自然伝説・歴史的伝説・信仰伝説を網羅する。