村を転げまわる乗丹坊の火の車
どんな伝承か
上宇内の村に乗丹坊という和尚が住職していた。学問はもとより衆僧にすぐれ、道徳堅固で多くの人々から尊敬されていた。そのころ肝煎の嫁に子が生まれ、子守として利口で並すぐれた美人の娘が雇われた。娘は子を背負って毎日のように寺へ遊びに来た。和尚はこの娘に魅せられ、ついに人目をしのぶ仲になった。噂は村中に知れ渡り、これまでの尊敬は軽蔑に変わって檀家は寺に近寄らなくなり、和尚は生活にも困った。そのころから毎晩のように火の車が村の中をころげ歩くようになり、どの家も怖くて雨戸を閉め早寝した。村人は、あれは和尚が自分の行いを悔い、良心の苦しみに堪えず転げ歩くのだろうと語り合ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
会津坂下町史 1(民俗編)――伝説(会津坂下町(編・山口弥一郎ほか)・会津坂下町史・自治体史(民俗))
福島県会津坂下町の自然伝説・歴史的伝説・信仰伝説を網羅する。