阿賀野川を泳ぎ渡った薬屋の嫁
どんな伝承か
広木薬局の数代前の婦人は、舟岡の斎藤家から嫁いだ美人で、気性のすぐれた男まさりの女であった。子が二人になって里帰りする時、一人を歩かせ一人を背負い、新館から八日沢を通り宇内に出て、津尻の村南から西に折れ、真機の南方から阿賀野川の湾曲部を回り、長井を通って舟岡村の対岸まで歩いた。そこは舟渡し場だが船頭は対岸に住み、いくら呼んでも川波に消えて出てこないことがあった。嫁は子を草に寝かせて着物を脱ぎ、裸で川に飛び込んで抜手を切って泳ぎ渡り、つないである舟の綱を解いて漕ぎ寄せ、子と土産を乗せて渡ったという。のち実家から熊の胃を持ち帰って売り、薬屋として繁盛した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
会津坂下町史 1(民俗編)――伝説(会津坂下町(編・山口弥一郎ほか)・会津坂下町史・自治体史(民俗))
福島県会津坂下町の自然伝説・歴史的伝説・信仰伝説を網羅する。